“世界初の腕時計” サントス ドゥ カルティエをどこよりも詳しく徹底解説!

”世界初の腕時計” サントス ドゥ カルティエをどこよりも詳しく徹底解説!

“世界初の腕時計”と言われているカルティエの歴史ある名品ウォッチ、サントス。今、そのサントスに異変が起きています。

2004年、サントス誕生100周年を記念して発表された「サントス100」以来、大きなアップデートなく沈黙を続けてきたサントスシリーズ。2018年、カルティエは「サントス ドゥ カルティエ」の新作を発表したのを皮切りに、続く2019年も「サントスデュモン」ニューモデルを発売し、より優雅で洗練されたコレクションラインを鮮明に打ち出してきています。

カルティエが今もっとも力を入れているウォッチコレクションと言っても過言ではないサントス。今回は、老舗ウォッチメーカーの名だたる伝統的コレクションの中でも最も長い歴史を持つサントスについて、歴代モデルを振り返りながら、その魅力に迫っていきましょう。

 

サントスは世界初の腕時計?

腕時計の始まりはレディースから

世界初の腕時計はどれか?それには実は諸説あります。

意外なことに、腕時計は男性用ではなく、レディースウォッチが起源。19世紀の初め、ナポレオンの后ジョセフィーヌが宝石師ニトに、時計のついたブレスレットを注文したという記録が残っています。当時は懐中時計に豪奢なブレスレットをつけ、上流階級の女性たちが手首に巻いていたようです。カルティエも1888年にダイヤモンドをあしらったゴールドの女性用ブレスレットウォッチを発売しています。時計機械そのものがまだ高価で工芸品のような意味合いが大きかった時代、このようなブレスレットウォッチは女性たちのための贅沢な宝飾品で、実用性はほとんど重視されていませんでした。“男は女のように腕に時計を巻くものではない”という先入観も、レディースウォッチに遅れをとる一因となっていました。

1800年代のボヴェ社製ポケットウォッチ

男性用の腕時計が歴史に現れるのは1880年。ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世の注文により、ジラール・ペルゴが2000本の腕時計を納品したという記録が残っています。また、1889年から1902年にかけて起きたアフリカのボーア戦争で、ボーア人の反乱を鎮めるために派兵されたイギリス軍の将校たちが、懐中時計を胸ポケットから取り出す手間を解消しようと腕に巻き付けたとも言われています。

これらは懐中時計に金具をつけて腕に固定したようなもので、今日に通じる腕時計という点ではまだアイデンティティを確立するに至っていませんでした。しかし、1分、1秒が生死を分け、勝敗を左右する戦争が、実用的な男性用腕時計を広く浸透させていく大きなきっかけとなったことは間違いありません。

さらに、時代は移動手段が馬車から自動車へと変わっていき、運転しながら時間を確認することができるなど腕時計の便利さに気付き始めた人々により、腕時計は軍人以外の一般層にも急速に広まっていきました。

サントスの誕生秘話

一方、時はベル・エポックと呼ばれる、パリが最も華やかな空気に満ちていた20世紀初頭。戦争を背景とした軍用時計の誕生とはまったく別のストーリーがパリの社交界で進行し、メンズ腕時計の歴史の幕を開けようとしていました。その主役はカルティエの3代目であるルイ・カルティエと、ブラジルコーヒー王アンリクの息子で、飛行冒険家であったアルベルト・サントス・デュモン。ともに社交界の有名人であり人気者だった二人は、出会った瞬間から意気投合します。ある日、サントスはルイ・カルティエに、飛行機の操縦中に懐中時計で時間を確認するのは困難だと漏らします。それを聞いたルイ・カルティエは、さっそく彼のために腕時計のデザインに取り掛かりました。

アルベルト・サントス・デュモンは洒落者としても有名だった人物。パリの人々はハイセンスな彼のファッションをこぞって真似るなど、ファッションリーダー的な役割を果たしていました。サントスのトレードマークは襟の高いハイカラーシャツで、これは後にハイカラの語源ともなっています。そんなお洒落なサントスを満足させるために、ルイ・カルティエは機能的でエレガントな腕時計をデザインし、1904年にサントスの手へと贈ったのです。

1920年代の大変希少なサントス・デュモン。当時はクラシカルなブレゲ針を採用していた。ムーブメントはヨーロピアウォッチカンパニーの手巻きムーブCal.27142が搭載されている。

そのまま「サントス・デュモン」と名付けられたこの時計は、空を飛行するときは必ず彼の腕とともにありました。彼に贈られたサントスのオリジナルは、すでにほぼ現行に近い完成度の高いデザインを備えており、懐中時計にベルトをつけた代物とは一線を画すものでした。そのため、世界初の腕時計はカルティエのサントスだと言われているのです。

ちなみに腕時計サントスが初めて一般に販売されたのは1911年のこと。1913年のカルティエの台帳にも「サントス・デュモンといわれる正方形の時計」をキンスキー伯爵に販売したとの記録が残っています。


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サントスの系譜

1970年代のサントス・デュモン。フレデリックピゲ社製の高級手巻きムーブメントを搭載。ギョーシェを施された文字盤が美しい。

アルベルト・サントス・デュモンに贈られた当初から高い完成度を誇っていたサントスウォッチは、角に丸みをもたせた正方形のフェイスと、ベゼルを留める8個のビスが特徴です。このビスは飛行機のボディのパーツをつなぐネジからヒントを得たもの。そして、青焼きした針、アールデコ調のローマンインデックス、そしてレイルウェイ分目盛りなどは、カルティエの伝統的なデザインコードの原点とも言えます。

1911年に一般へと発売されたサントス・デュモンはイエローゴールドまたはプラチナで作られており、シックな革ベルトに、留め金にはこれもカルティエの発明であったDバックルをすでに備えていました。しかし、第二次世界大戦を経て1950年代にかけて、軍用時計の要件であるラウンド型の時計でなかったサントス・デュモンは次第に人気を失っていきます。サントスが輝きを取り戻す最初のきっかけになったのは1978年に新しく発表されたサントスです。

 

サントス(1978年~)

1970年代に入ると腕時計の世界にあるトレンドが巻き起こります。そのきっかけはオーデマ・ピゲのロイヤルオークや、パテック・フィリップのノーチラスの成功でした。

高級時計メーカーの高級時計=ゴールドケースというそれまでの常識を覆す、ステンレススティールを用いたこれらのラグジュアリーなハイエンドピースは、“ラグジュアリースポーツウォッチ”という大きな潮流を生みだします。その流れに乗るようにカルティエが目をつけたのが、サントスシリーズの刷新でした。

1978年、サントスはデザインにリューズガードを加え、7角形に整形されたリューズ、従来より大きくなった象徴的なビスモチーフ、そしてステンレス製のケース、ブレスレットを備えるなど、それまでクラシカルな印象だったサントスのイメージを覆すスポーティーなモデルへとアップデートされます。同時に、カルティエは当時としては画期的だったステンレスとゴールドのコンビネーションモデルを発表し、高級感を高めることに成功。ステンレスxゴールドコンビは1980年代にかけて非常に人気となりました。

サントスガルベ(1987年~)

1987年、サントスは名前をサントスガルベにあらため再始動します。ガルベとはフランス語で“曲線”を意味し、それまで直線的な箱型だったケースを湾曲させ、より手首との一体感を増すようにアップデートされました。

左が旧モデルのサントス。右がサントスガルベ。比べるとサントスガルベはケース表面がうっすらと湾曲しているのがわかる。
サントスガルベはステンレススティールまたはコンビモデルを展開し、一部自動巻きムーブメントを搭載するモデルもありましたが、ほとんどはクォーツムーブメントでした。

サントスガルベの中でも話題性が高かったモデルを2つご紹介しましょう。まずは2002年にアジア限定で発売されたグレー文字盤 Ref.W20067D6。
サントスガルベ Ref.W20067D6

カルティエには他のコレクションを含めグレーの文字盤は珍しく、アジア限定ということもあり人気を博しました。

2005年にはシリーズでもっとも大型なサントスガルベXLサイズが誕生。

 
サントスガルベ XL Ref.W20098D6

それまでのLMサイズ(幅29mm)に比べ、XLサイズはケース径35mmと大型化。現在では35mmでも一般的なメンズサイズと比べて小さめですが、サントスのスクエア型のデザインはその数値以上に大きく見え、とてもインパクトがありました。

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サントス100(2004年~)

2004年、サントス生誕100周年を記念して発売されたのがサントス100シリーズです。パネライが火付け役となった折からのデカ厚ブームに乗じ、それまでより厚みを増して、ベゼルやビスも大きく骨太な印象になりました。 サントスガルベの特徴である湾曲したケースのアールもより強調されています。

左がサントスガルベ。右がサントス100。サントス100は折からのデカ厚ブームに乗り、ケースの厚みを増すなどボリューム感のあるデザインに変更された。

防水性もガルベ時代の30m防水から100m防水へと大きく進化。サントス100のベーシックモデルはステンレスケース×レザーストラップでしたが、後に最新のケース素材や技術を用いた実験的なラインナップを展開し、ブラックの高硬度ADLC加工(カーボンコーティング)を施したステンレスケースやチタンベゼル、ラバーストラップ、クロノグラフモデルなど革新的なモデルを2017年にかけて発表しています。
 
サントス100 カーボンウォッチL Ref.WSSA0006
ブラックの高硬度ADLC加工(カーボンコーティング)が施されたスティールケースに自社製自動巻きムーブメントcal.1847MCを搭載している。

中でも最も大きな話題をさらったのは両面スケルトンモデルRef.W2020018でしょう。カルティエ正規特約店の中でも限られた店舗のみでしか手に入らない希少なモデルで、より白みの強いパラジウムを使用していました。カルティエ特有のローマンインデックスがそのまま放射線状に配され、くりぬかれたすき間からシンプルな自社製ムーブメント 9611MCを覗くことができます。優雅なアールデコのデザインと硬質でメカニカルな雰囲気が融合し、正規価格は約630万円と高額でしたが人気を博しました。
 
サントス100 XL スケルトン Ref.W2020018


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サントスのレディースモデル

最新のサントスシリーズを紹介する前に、サントスのレディースモデルもご紹介しましょう。基本的には上で紹介したサントスガルベやサントス100も小ぶりなサイズもラインナップしており、男女兼用で使えるモデルではありますが、レディースに特化する形で発表されたモデルもあります。

サントスオクタゴン(1980年頃~)

1980年代から1990年代初頭までのわずか10年ほどで製造を終了したサントスオクタゴン。その名の通り、八角形のベゼルをもつラウンドウォッチで、サントスの本流にはない珍しいデザインとなっていますが、ブレスやベゼルにビスを取り入れた特有のデザインは共通しています。当時は男女兼用デザインだったようですが、現在はサイズ感からレディースのヴィンテージウォッチをして扱われることがほとんど。ムーブメントは自動巻き、クオーツ両方ラインナップされていました。

サントスドゥモワゼル(2005年~)

2005年にレディース専用ラインとして発表されたのがサントスドゥモワゼルです。アルベルト・サントス・デュモンが最後に乗っていた飛行機“ドゥモワゼル号”にちなんで名づけられました。ドゥモワゼルはデザインからビスモチーフを廃し、ステンレスモデルはシンプルでプレーンな印象ですが、ゴールド素材にダイヤモンドを散りばめたラグジュアリーモデルも多くラインナップしており、スポーティーなサントスと180度印象の違うエレガントな印象となっています。

もっとも小ぶりなミニサントスドゥモワゼル Ref.WF9011Z8
可愛らしいサイズ感やデザインは、手首の細い日本人女性によく似あうことから人気になりました。2017年、パンテールの新作と入れ替わるように生産終了となってしまったため、中古市場で大変人気のあるモデルとなっています。


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2018年、生まれ変わったサントスシリーズ

さて、ここからは最新のカルティエ・サントスシリーズについて詳しく解説していきます。

サントス ドゥ カルティエ(2018年~)

カルティエは2018年に開かれた時計の祭典SIHH(SALON INTERNATIONAL DE LA HAUTE HORLOGERIE)で大幅にリニューアルした新しいサントス ドゥ カルティエ(以下、サントス)をお披露目し、大きな話題となりました。 アメリカの人気俳優ジェイク・ギレンホールをアンバサダーに起用して大々的に広告を打ったことでも注目を集めます。

サントス ドゥ カルティエ 2018年新作 Ref.WSSA0009
それまでETA製のムーブメントに頼ってきた機械を自社製ムーブメント「1847MC」を搭載。時計ケースは湾曲がさらに大きくなり、そのラインは往年のサントスガルベを彷彿とさせます。サントス100から大きく変わったのは時計の厚み。新しくなったサントスは厚さ9.08mmと薄型を意識して作られており、スマートでスタイリッシュな印象となっています。また、ベゼルもブレスに向かってつながるように一体感をもたせたデザインへ変更され、素材はピンクゴールドの無垢やステンレスとのコンビモデルもラインナップに追加されました。
 


新生サントスはデザインがアップデートされただけではありません。カルティエ独自のテクノロジーが搭載されています。 それは工具なしに簡単にベルトを交換することのできる「クイックスイッチ」機構と、コマの調整を可能にした「スマートリンク」機構です。
 

新生・サントスには交換可能なブレスレット1本とレザーストラップ1本が付属されており、ベルトを気分に合わせて付け替えることができるほか、面倒なコマ調整も簡便化されました。これらに関しては後ほど詳しく解説します。

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サントスデュモン(2019年~)

さらに2019年のSIHHではサントスデュモンの新作が登場。初代サントスの精神を今に受け継ぐかのごとく、1904年に発表されたオリジナルのデザインに回帰し、上品でクラシカルな印象に装いを新たにしました。

サントスデュモン 2019年新作 Ref.WSSA0023
オリジナルに忠実に、リューズガードを廃し、7角形が特徴だったリューズも装飾の施されたカボションに復古して、ドレスウォッチ然とした雰囲気に。 特筆すべきはそのケースの薄さです。厚さわずか7.3mmというケースの中には、ヴァル フルリエと共同開発したバッテリー寿命約6年のクォーツムーブメントが搭載されています。
 

ケースが薄型になった一方、ベゼルは山型になるよう高さの変化がつけられており、より立体的で表情豊かに。付属するマットな質感のアリゲーターのストラップもほどよくカジュアルダウンしてくれるため、 ドレッシーながら普段使いもしやすいように工夫されています。

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新機構「クイックスイッチ」と「スマートリンク」

ここからは2018年に発表されたサントス ドゥ カルティエから採用されている新機構「クイックスイッチ」と「スマートリンク」について、実際にベルト交換とコマ詰めを行いながら解説したいと思います。

ワンタッチでベルト交換!「クイックスイッチ」機構

新生サントス最大の特徴は、簡単にストラップを交換できる「クィックスイッチ」システムの採用です。ストラップの裏側をワンプッシュするだけで簡単に取り外せる仕様になっています。

矢印で示した箇所を押し込みながら本体ケースとベルトの接合部を手前側に持ち上げると簡単に外すことができます。

あっけなく外れました!同じように反対側も外します。

今度は付属するレザーストラップに交換しましょう。(レザーストラップは裏側を向けて置いてあります)

レザーストラップにも、このように接合部にクイックスイッチ機構がついています。

先ほどの逆の要領で、裏側をプッシュしながら上からラグへとはめ込みます。

しっかりはまるとカチっという感触が手に伝わってきます。しっかり噛み合ったか確認しましょう。

反対側も同じようにレザーストラップを付ければベルトチェンジ終了。1分もかかりません!

工具なしでコマ調整「スマートリンク」機構

矢印に示したところにコマ調整用のボタンがついています。肉眼ではよく見ないと気づけないくらい、緻密で滑らかなつくりです。

このボタンを爪先で押し込むと、ピュッとコマ同士を繋いでいるピンが飛び出してきます。抜くコマとその手前側のコマ、両方のボタンを押してピンを飛び出させます。

ピンをぎりぎりまで引き抜いて一コマ取り外します。

コマ同士を合わせてピンを押し込みます。

これでコマ調整も完了。反対側のブレスも同じように調整できます。

まとめ

いかがでしたか?

歴史あるカルティエの名品ウォッチであるサントスコレクションの魅力が伝わりましたでしょうか。ジャックロード、ベティーロードでは新品、中古とも豊富に商品を取り揃えております。これを機にぜひお気に入りのサントスを手に入れてみてはいかがでしょうか。

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