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2022/7/5

時計専門店スタッフが「もっと売れてもおかしくない」と思う隠れた名品「ポルシェデザイン編」

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時計専門店スタッフが「もっと売れてもおかしくない」と思う隠れた名品「ポルシェデザイン編」

高級時計の代名詞でもあるロレックス、世界3大時計として名を馳せるパテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンなど、これらは知名度やブランド力のあるウォッチメーカーとして知られています。

その一方で、目立たないながらも品質、デザイン、そしてコストパフォーマンスに優れた時計を輩出し続ける良質なウォッチメーカーも数多く存在しています。

「メジャーとはいえないが、もっと売れてもおかしくない」と感じるタイムピースの数々に触れあってきた時計専門店スタッフの菅原が、今までに出会ったまだあまり知られていない名品時計をウォッチメーカーごとに取り上げ、解説していくこの新企画。

栄えある第1回目はポルシェデザインを取り上げます。ぜひ、最後までお愉しみください。



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■この記事の筆者;
腕時計専門店ジャックロード WEBサイト運営スタッフ 菅原

入社歴10年以上のベテランミドル。時計好きが高じて入社しているためマニアックな視点で時計を見てしまいがち。飽きっぽい性格であることから好みの時計は日替わりで変わってしまう。最近のお気に入りはポルシェデザイン。

■SHOP INFORMATION;
店舗(東京・中野ブロードウェイ3F)案内は こちら
オンラインストアは こちら

紆余曲折があったポルシェデザイン50年の歴史

早速ですが、みなさんはポルシェデザインのことはどこまでご存じでしょうか?車のポルシェについては知っているがウォッチメーカーのポルシェデザインは詳しく知らない、なんて方も多いはず。そんな方のために、簡単にポルシェデザインの歴史をご紹介します。

ポルシェデザインはスポーツカーの代名詞といえるポルシェ911をデザインした、フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェが1972年に創業したライフスタイルブランドで、2022年に創業から50年の節目を迎えたばかりです。そんなポルシェデザインは時計、ステーショナリー、アパレルから、シャンパンクーラー、さらにはタワーマンションのデザインと、あらゆる分野において魅力的な製品を今まで輩出してきました。

ちなみに車のポルシェはフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェの祖父であるフェルディナント・ポルシェが1931年に設立したのが始まりです。フェルディナント・ポルシェは20世紀最高の自動車設計者として知られ、フォルクスワーゲン・タイプ1(ビートル)を生み出した自動車史に残る偉人です。

後年、孫のフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェも時計史に名を残しており、サラブレッドの血統が継承されていることが分かります。

ポルシェデザイン ミリタリー クロノグラフ Ref.7176S
ミリタリー クロノグラフ Ref.7177
オルフィナとのパートナーシップを経て誕生したクロノグラフ

ポルシェデザインはそのネーミングからも分かる通り、デザインに重きを置いているため時計そのものの製作はウォッチメーカーの協力が不可欠でした。最初のパートナーはスイスの古い腕時計メーカーで、今はなきオルフィナ。その後、現在でも人気のIWCや、スイスの高級時計メーカーで薄型ムーブメントに定評のあるエテルナとパートナーを変えていくことになります。

この3つのウォッチメーカーのうち、国内では知名度が低いオルフィナとエテルナを少し解説しましょう。オルフィナは1922年にスイスのグレンヘンにて創業した時計メーカー。創業当初から耐久性が高い軍用時計を中心に展開しており、その後ポルシェデザインとパートナーシップを結びます。現在もスポーツウォッチを中心に活動しています。

エテルナはあの世界最大のムーブメントメーカー、ETA社が属していたことでも知られています。5つのボールベアリングを配したエテルナマティックなど、自動巻き時計の歴史に革新を残す開発を実現した技術メーカーです。

この中で最も有名なのがIWCとのパートナーシップでしょう。実にIWCとの提携は約23年間に及び、ポルシェデザインの歴史の半分が協力関係にあったことからも、その蜜月ぶりがよく分かります。

このパートナーシップで時計史に残る傑作が生みだされていき、ポルシェデザインの名前が時計界に大きな足跡を残すことにも繋がったのです。

そんなポルシェデザインですが、現在はポルシェ(車)の傘下に収まり、車のポルシェに使用されているカーボンファイバー、カラーを取り入れるなど、ポルシェブランドとしてのシナジー効果を強調しています。

歴史に名を残すポルシェデザインの傑作モデル

ポルシェデザインの50年の歴史から生まれた傑作モデルをご紹介しましょう。今となっては市場に出回ることが少ない希少モデルです。

ミリタリー クロノグラフ

ポルシェデザインが最初に選んだ時計メーカー、オルフィナとの共作がクロノグラフです。オールブラックのケース&ブレスレットに赤いクロノグラフ針がスポーティーなフォルムは大いに話題を呼びました。

それもそのはず、時計界初のオールブラックのケース&ブレスレットと実に斬新な登場だったのです。今となってはオールブラックのケース&ブレスレットは目新しくありませんが、実はポルシェデザインがパイオニアなのです。

そんなポルシェデザインのクロノグラフはムーブメントの初期モデルがヴァルジュー社製で、後年はレマニア製を採用。さらにチタンケース、レザーストラップモデルが生産されるなど、多くのバリエーションが存在しています。

映画「トップガン マーヴェリック」の劇中に登場したことや、50周年を記念した復刻モデル、クロノグラフ 1-オールブラック ナンバードエディションの発表など、大きな注目を集めているモデルです。

ポルシェデザイン コンパスウォッチ Ref.3551
コンパスウォッチ Ref.3551

コンパスウォッチ

そのネーミング通り、時計にコンパスが装備された斬新なツールウォッチとして1978年に発表。あのIWCと約3年の歳月をかけて誕生したモデルです。

6時側にあるラグのボタンを押すことで、時計の下側に装備されているコンパスを表示させるギミックが仕込まれています。ケース素材もアルミニウム合金のジュラルミンを使用したものやチタン製が存在します。

ジェームズボンドが使用しそうなミッションウォッチですね。

ポルシェデザイン チタニウムクロノグラフ Ref.3704
チタニウムクロノグラフ Ref.3704

チタニウムクロノグラフ

チタン素材をケース&ブレスレットに使用した、当時としては画期的なクロノグラフモデル。チタン素材であることや、ケースと一体化されたクロノグラフボタンなどポルシェデザインならではのデザインが採用されています。

生産期間が長かったことからロゴ表記のバリエーションが多く存在し、その中でもIWCの表記が入るものは高値で推移しています。クオーツ、ムーンフェイズが採用されたモデルも存在しています。

ポルシェデザイン オーシャン2000 Ref.3504
オーシャン2000 Ref.3504

オーシャン2000

おそらくポルシェデザインの50年の歴史で最も知名度が高いモデルといえるのがオーシャン2000ではないでしょうか。旧ドイツ軍の要請からスタートした開発を経て、当時としては驚異の2,000m防水を実現したことでその名を広く知らしめました。

特徴的な流線形のフォルムと驚異の防水性能を備えるオーシャン2000はポルシェデザインの代表作です。こちらもミリタリーモデル、コンビ、廉価版のオーシャン500と多彩なラインアップが存在しています。

また、このオーシャン2000の技術を基に、IWCはGSTアクアタイマーを後年に発表。オーシャン2000と同様の2,000m防水が与えられたダイバーズウォッチは市場で高い人気を誇りました。

実機で解説!ポルシェデザインの魅力

ここからは実機をご覧いただきながらポルシェデザインの魅力をご紹介します。数あるポルシェデザインの在庫の中から個人的な好みでこちらの3本をピックアップしてみました。レーシーな雰囲気のクロノタイマー、GMT針が装着された1919 グローブタイマー、エレガントな1919 デイトタイマー エタニティです。

まずはこの3本の中で、特に気に入ったクロノタイマーからご紹介していきましょう。

クロノタイマー

ポルシェデザイン クロノタイマー Ref.6010.1.04.005.01.2

この3本の中でなぜ特に気に入ったのか?それはポルシェデザインの時計の始まりでもあるクロノグラフ1を継承するのがクロノタイマーシリーズだからです。名称こそ違いますが、50年近く歴史をもつコレクションの血統であることが私の琴線に触れました。

そして、クロノグラフ1と同じく、ポルシェデザインといえばオールブラックのボディーは外せません。そもそもクロノグラフ1は時計業界初のオールブラックモデルであったため、その血統を受け継ぐクロノタイマーもオールブラックでなければならないのです。

さらにこのオールブラックボディーにレッドカラーの差し色、そして文字盤にはF1レースの車体に使用される軽量なカーボンファイバーがセッティングされていることが、クロノグラフ1との相違点であり進化した部分といえるでしょう。

ポルシェデザイン クロノタイマー Ref.6010.1.04.005.01.2

このアングルからだと文字盤のレイアウトの立体感が見て取れます。交互にカーボンの繊維の束が平織りで編みこまれた文字盤がレーシーな雰囲気を強調しています。その姿はまるでチェッカーフラッグのように見えますね。

インダイヤルのレイアウトは12時位置が30分積算計、6時位置が12時間計、9時位置がスモールセコンド、3時位置に日付が収まります。常に稼働するのは9時位置のスモールセコンドのみで、それ以外の針はクロノグラフを動かさないと稼働しません。

ポルシェデザイン クロノタイマー Ref.6010.1.04.005.01.2

ケースバックはシースルー仕様で、大きく肉抜きされた自動巻きローターで内部のメカニカルな表情が愉しめます。ガラスの表面には薄くスモークが入り幻想的な雰囲気が演出されています。

自動巻きムーブメントは信頼性のあるETA社製バルジュー7750がベース。ETA社製バルジュー7750は1973年に誕生して以来、現在も生産され続けているロングセラームーブメント。長期間生産がされていることは、その高い信頼性があってこそです。

ポルシェデザイン クロノタイマー Ref.6010.1.04.005.01.2

実機を持って驚いたところがブレスレットの作りです。3列の駒で構成されたブレスレットはなんと全ての駒が独立して可動する手の込んだ仕様!これにより腕元へ、より密着度が増しています。

一体型の駒にすれば製造コストを削減できるにも関わらず、わざわざ駒を独立させているところがポルシェデザインのこだわりなんでしょうね。

ポルシェデザイン クロノタイマー Ref.6010.1.04.005.01.2

駒の接合はネジ式。高級時計のほとんどに使用されているネジ式をポルシェデザインも採用しています。

ポルシェデザイン クロノタイマー Ref.6010.1.04.005.01.2

クラスプはセンターにあるプッシュボタンを押すことで両方向に開くバタフライ式。こちらもブラックのコーティングが施されています。

ポルシェデザイン クロノタイマー Ref.6010.1.04.005.01.2

開閉するためのプッシュボタン付近に「P」のロゴがさりげなく入れられています。サテン仕上げのブラックコーティングが表面に施されていることから、指紋でベタベタになることはありませんでした。

ポルシェデザイン クロノタイマー Ref.6010.1.04.005.01.2

 ここがツボ  クロノタイマー Ref.6010.1.04.005.01.2

・初代クロノグラフ1を彷彿とさせるオールブラックのボディー
・ケース幅が42mmと大型でありながらオールチタニウム素材により重量は149gに抑えられている
・全ての駒が独立して可動するコストがかけられたブレスレット
・スポーティーな雰囲気を演出するカーボン文字盤
・ポルシェのメーターを彷彿とさせるインダイヤル

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1919 デイトタイマー エタニティ

ポルシェデザイン 1919 デイトタイマー エタニティ Ref.6020.3.03.004.07.2

続いては一転してエレガントなフォルムの1919 デイトタイマー エタニティです。この美しく上品なフォルムはポルシェ初のフル4シーターサルーンのパナメーラを彷彿とさせます。

1919シリーズの特徴が大きくスペースが開口したケースラグの形状です。このスペースはポルシェのエアインテークを彷彿とさせる大胆な形状が施されています。他の時計では見られないポルシェデザインならではの唯一無二のフォルムです。

画像で見た時はこの大きなスペースがあまりいい印象ではありませんでした。ところが、着用してみるとカッコよく見えてくるから不思議です。時計は着用してみるとそのイメージを大きく変えることを、あらためて学んだ次第です(笑)。

ポルシェデザイン 1919 デイトタイマー エタニティ Ref.6020.3.03.004.07.2

グリーンカラーのスーパールミノバにより夜間の視認性も良好です。ポルシェデザインならではの特徴のあるインデックスに目を奪われます。

ポルシェデザイン 1919 デイトタイマー エタニティ Ref.6020.3.03.004.07.2

落ち着いたベージュカラーのアリゲーターレザーの裏面は汗が染みこまないように防汗コーティングが施されています。

ポルシェデザイン 1919 デイトタイマー エタニティ Ref.6020.3.03.004.07.2

ブロンズに見えるフォールディングバックルですが、素材には軽量なチタンが採用されています。ブランド創業当時からチタン加工を得意とするポルシェデザインならではの装備です。

ポルシェデザイン 1919 デイトタイマー エタニティ Ref.6020.3.03.004.07.2

 ここがツボ  1919 デイトタイマー エタニティ Ref.6020.3.03.004.07.2

・オールチタンでありながらもブロンズのような高級感のあるボディー
・わずか85gと軽量なため長時間の着用において苦にならない
・搭載ムーブメントがcal.3131→cal.3230に。パワーリザーブが70時間に延長
・大型のりゅうずは表面にローレット加工が施されているため操作性に優れる
・エアインテークを彷彿とさせる大胆な形状のケースラグ
・夜間においてもスーパールミノバの夜光塗料が視認をサポート

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1919 グローブタイマー

ポルシェデザイン 1919 グローブタイマー Ref.6020.2.01.001.06.2

最後に紹介するのはGMT機能が付いた1919 グローブタイマーです。2つの異なるタイムゾーンを文字盤上に表示することができるGMT機能ですが、ポルシェデザインのGMTは他の時計ブランドとはひと味違います。それはどこか…。

ポルシェデザイン 1919 グローブタイマー Ref.6020.2.01.001.06.2

一般的なGMTモデルはGMT機構の元祖でもあるGMTマスターにならいベゼルに24時間表示を配置しているのが通例です。ところがポルシェデザインはあえて文字盤内周に表示する独自のレイアウトが採用されています。

これにより文字盤内周はホームタイム、文字盤外周はローカルタイムを確認できます。実にスタイリッシュなデザインだと思いませんか?

ポルシェデザイン 1919 グローブタイマー Ref.6020.2.01.001.06.2

ケースバックには各主要都市のタイムゾーンのリストが記載されています。ローカルタイムとの時差を知る上でとても便利な表示です。

ポルシェデザイン 1919 グローブタイマー Ref.6020.2.01.001.06.2

ラバーストラップの裏側はご覧のように車のタイヤのトレッドパターンを彷彿とさせるデザインが施されています。汗の滑りを防止してくれる機能も満たすことから、見た目だけではなく実用性も兼ね備えられています。

ポルシェデザイン 1919 グローブタイマー Ref.6020.2.01.001.06.2

大型のりゅうずは表面にローレット加工が施されているため、操作性に優れます。りゅうずを1段引いた状態で日付表示(下側に回す)、GMT針(上側に回す)、2段引いた状態で時刻を合わせることが可能です。

実際に操作してみましたが、りゅうずが大きく動かしやすいものでした。ぜひ、実際に触れていただきたいですね。

ポルシェデザイン 1919 グローブタイマー Ref.6020.2.01.001.06.2

 ここがツボ  1919 グローブタイマー Ref.6020.2.01.001.06.2

・90gと軽量なため長時間の着用において苦にならない
・シンプルなデザインゆえにホームタイム、ローカルタイムの表示が見やすい
・りゅうずだけで時刻、日付、GMTが操作可能
・滑り止め効果があるラバーストラップは腕元への収まりに優れる
・ケースバックに主要タイムゾーンが記載されているためGMTの調整に役立つ
・オールサテン仕上げのため落ち着いた印象を与えてくれる

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まとめ

いかがでしたか?

今回はポルシェデザインについて解説しました。念願だったポルシェデザインに触れられ、なおかつ栄えある第1回目に取り上げられることができて嬉しかったです。

今回の内容がポルシェデザインをご購入される際の参考になれば幸いです。

当店ではご紹介したコレクション以外にも数多くのポルシェデザインを取り揃えています。ぜひあなたにとってベストなアイテムを探してみてください。

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業界最大手!全国屈指の品揃えを誇るメンズブランド腕時計専門店ジャックロード。創業30年以上の実績と信頼を誇る、並行輸入店の草分け的存在です。東京・中野ブロードウェイ3Fに店舗があり、ブランドジュエリー&バッグ店舗、姉妹店であるレディース腕時計専門店ベティーロードも併設されているため、ご家族やご友人同士でご来店いただいてもみなさまにお楽しみいただけるラグジュアリー空間となっております。

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