精密な機械を搭載する腕時計にとって、水は一番の大敵。そのため、腕時計にはあらかじめ防水性を持たせているのが一般的です。
とはいえ直接水に浸しても問題ないのか、そのままプールで泳いでも大丈夫なのか、具体的なシーンと結びつけるのは意外と難しいもの。
どの程度の防水性能があるのかわからない方も意外と多いようです。実際、認識を誤って性能以上の負荷をかけてしまい、腕時計を壊してしまう例も少なくありません。
今回は、一般的な防水性能が付加された時計に着目し、意外と知られていない腕時計に備わる防水性能についてご紹介していきます。
本来、腕時計は水にとても弱いものです。内部に水が入ってしまうと、風防(ガラス)が曇ってしまい、やがて文字盤や針を含めた時計内部のパーツが腐食します。
万が一ムーブメントが腐食すると機械に致命的な影響を与えてしまう場合も。そのような事態を事前に回避するためにも、あらかじめ腕時計の防水性能に対し正しい知識を持っておくことが大切です。
腕時計には防水性を持つものと持たないものとに分けられます。基本的に現在生産されているものは、ある程度の防水性は付加されています。
ところが古いアンティーク(ヴィンテージ)時計は経年変化により、当時の防水性が発揮できない個体も存在します。そのため普段の生活の中にある湿気にも注意しなくてはなりません。
一般的に腕時計の防水性能は「〇気圧防水」のように圧力で表示されます。これは、腕時計に水圧がかかった場合、どの程度まで時計内への水の浸入を防ぐことが可能なのかを表しています。
腕時計の防水性として最も一般的なのが「3気圧防水」の表示です(「WATER RESISTANT」あるいは「W.R.」と表示されている場合もあります)。
これは、「日常生活用防水(JIS規格では1種防水時計に分類される)」とも呼ばれ、汗や雨、洗顔をするときに付着する水滴に耐えられることを示しています。
「日常生活」とはいえ、食器の洗浄、洗濯物の手洗いといった水仕事をする際に着用することは推奨されていません。もちろん、入浴や水上でのスポーツ、素潜りなど強い水圧がかかる恐れのあるシーンでは使用できません。
「3気圧防水」は水深30mまでの水圧に耐えられる性能を表しているため、「水深が1ｍにも満たない入浴なら平気だ」と思われる方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、これは誤りです。「3気圧防水」の日常生活防水が保証しているのは、あくまで水深30mにおいて静止状態にある場合の動作だけ。入浴や水仕事では、ある程度の動きをともなうため3気圧防水では耐えられません。
動作が加わると静止状態より高い水圧がかかるため、腕時計に想定以上の負担がかかります。くれぐれも入浴や水仕事の際は取り外すように心がけましょう。
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「5気圧防水」と表示されている腕時計もよく見かけます(「WATER RESISTANT 5BAR」「WATER 5BAR RESISTANT」あるいは「W.R.5BAR」と表示されている場合もあります)。
「日常生活用強化防水」とも呼ばれ、食器の水洗いやお風呂の洗浄のほか、農業や漁業など水に触れる作業時にも使用することが可能です。
また、水泳やヨット、釣りといったスポーツを楽しむ際にも身に付けることができます。ただし、洗浄剤が付着してしまった場合は、流水(真水)できれいに流すようにしてください。残留した洗浄剤がパッキンに付着すると、化学変化を起こしてゴムの弾力が損なわれる可能性があるからです。
「5気圧防水」は水深50mまでの水圧に耐えられることを意味しますが、水深50m未満であったとしても素潜りや飽和潜水時に使用することはできません。「3気圧防水」の章で説明している通り、あくまで静止状態にあることが条件のためです。
特に高い水圧のシャワーを浴びたり、蛇口から勢いよく出ている水道水に当たったりすると、時計内に水が浸入する恐れがあるので注意が必要です。
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「10気圧防水」の腕時計も、「日常生活用強化防水」と呼ばれます(「WATER RESISTANT 10BAR」「WATER 10BAR RESISTANT」あるいは「W.R.10BAR」と表示されている場合もあります)。
「5気圧防水」と同じく、水仕事をする際や水上スポーツを楽しむときだけでなく、素潜りをする場合にも使用することが可能です(飽和潜水時に使用することはできません)。
ただし、10気圧防水といってもやはり取り扱いには十分な注意が必要。水滴が付着した状態でのりゅうずやボタンの操作は、時計内に水が入り込む恐れがあるので控えましょう。
また、海水についた場合、流水(真水)で洗浄してから拭くのが適切です。これを怠ると、風防の接着面やパッキンが劣化したり、ステンレスが錆びたりする場合もあります。
基本的に入浴での使用も避けるのがよいでしょう。お湯に腕時計を入れるとパッキンが熱のために変形する恐れがあります。
特に温泉の場合は成分が金属の変色や腐食の原因となることがあるため注意してください。
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腕時計に「WATER RESISTANT」と書かれている場合も、あらゆるシチュエーションで防水性能を発揮することができるとはいい切れません。
大切なのは、一口に防水とはいっても、その性能はレベルによってさまざまであることを知った上で機能に応じた使い方をすることです。そうすることで愛機を長持ちさせることにも繋がります。
防水性能もしっかりチェックをして、ご自身のライフスタイルに合った時計選びにお役立てください。
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