時計専門店スタッフが「もっと売れてもおかしくない」と思う隠れた名品「モーリス・ラクロア アイコン編」

高級時計の代名詞でもあるロレックス、世界3大時計として名を馳せるパテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン。そのような知名度やブランド力のあるウォッチメーカーがの陰で、目立たないながらも確かな品質、デザイン、そしてコストパフォーマンスに優れた時計を輩出し続ける良質なウォッチメーカーも数多く存在しています。

「メジャーとはいえないが、もっと売れてもおかしくない」と感じるタイムピースの数々に触れあってきた時計専門店スタッフの菅原が、今までに出会ったまだあまり知られていない名品時計をウォッチメーカーごとに取り上げ、解説していくこの企画。

記念すべき第一回目はポルシェデザインを取り上げましたが、第2回目はモーリス・ラクロアの登場です。

2016年に登場して以来、アイコン旋風を巻き起こし、当店ジャックロードにおいても人気急上昇のブランドです。今回はそんなモーリス・ラクロアの中でも、スタッフ菅原が「もっと売れてもおかしくない」と思えるモデルを取り上げます。ぜひ、最後までお愉しみください。

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アイコンだけではないモーリス・ラクロアのコレクション

2016年にアイコンが登場して以来、モーリス・ラクロアといえばアイコンのイメージがありますが、実はそれまでにも魅力的な時計の数々を世に送り出しています。

その中の1つがモーリス・ラクロアの技術を惜しみなく投入したマスターピースコレクション。傑作、名作を意味する最上位のコレクションは、自社開発したムーブメントをモーリス・ラクロア独自のユニークな機構を織り交ぜ、制作されています。

ちなみに、余談ですが私はモーリス・ラクロアに対して、そのマスターピースにラインアップされていたマスターピース カレンドリエ レトログラードのような多針時計を取り扱うブランドといったイメージを抱いていました。ユニークな配置のレトログラードに針を多く使うのが特徴で、それでいながらもリーズナブルな価格の時計を提供してきた印象です。

なぜアイコンは大ヒットしたのか！？その快進撃とは

そんな印象のモーリス・ラクロアでしたが、2016年に登場したアイコンによって、今までのブランドイメージは大きく様変わりしました。

アイコンがまとったラグジュアリースポーツウォッチのフォルムは、それまでのフォーマルな腕時計を作るマイナーブランドのイメージを大きく覆したものでした。

もちろん、見た目の印象のみならず、高品質な作りとメーカー希望小売価格で10万円台という戦略的な価格も大いに注目されました。

その出来の良さは多くの腕時計ショップの評判を呼び、瞬く間に一般ユーザーへ認知されていくことになります。

先陣を切って発売されたのはクオーツ時計、その翌年には待望の自動巻きムーブメントが登場。文字盤にクル・ド・パリ装飾を施したデザインは、スポーティーなフォルムにラグジュアリーな要素がさらに強調されたことで人気を後押ししました。そこからのアイコンはバリエーションを一気に拡充。

クオーツモデルを皮切りに、自動巻きモデル、ダイバーズモデルのアイコン ベンチュラー、クロノグラフ、スケルトン、レディースモデルとアイコンファミリーはモーリス・ラクロアの一大勢力を担うコレクションへと昇華していったのです。

現在の主要なアイコンファミリーはご覧の通りです。

アイコン クオーツ

アイコンを手軽に愉しむのならば時刻合わせが不要なクオーツモデルがおすすめです。自動巻きモデルと異なるのが文字盤の装飾です。クル・ド・パリ仕上げは施されていませんが、スポーティーな雰囲気を色濃く感じられます。価格は5万円台半ばから入手可能です。

アイコン 自動巻き

クオーツモデルと比較して、高級感が増した自動巻きモデル。ベンチュラーは文字盤表面に装飾が入らないものの、サンバースト仕上げが入るのが特徴です。価格は10万円台前半から入手可能です。

アイコン 自動巻き 特殊モデル

自動巻きモデルの派生としてバリエーションに加わったのがスケルトンとクロノグラフ。通常の自動巻きモデルに比べて高価になるものの、他のブランドに比べればだいぶリーズナブルな設定です。価格は20万円台から入手可能です。

実機で解説！モーリス・ラクロアの魅力

ここからは実機をご覧いただきながらモーリス・ラクロアの魅力をそれぞれご紹介します。数あるモーリス・ラクロアの在庫の中から個人的な好みでこちらの3本をピックアップしました。

ダイバーズタイプのアイコン ベンチュラー、リサイクル素材を活用したアイコン タイド、落ち着いたカラーリングが大人の雰囲気を醸すアイコンです。まずはこの3本の中で、特に気に入ったアイコン ベンチュラーからご紹介していきましょう。

アイコン ベンチュラー

2019年にアイコンの派生モデルとしてコレクションにラインアップされたのがアイコン ベンチュラーです。モーリス・ラクロアは、日常のあらゆるシーンに溶け込むスポーティーなモデルをコンセプトにアイコン ベンチュラーを開発したと明言しています。

すなわちアイコンがエレガンスモデルの代表格とすれば、アイコン ベンチュラーはその対極に位置するダイバーズジャンルのカテゴリに属するモデル。それゆえにアイコン ファミリーではあるものの専用のデザインとサブネームが与えられているのです。

10気圧がプラスされた防水スペック

アイコンが評価されている要素の1つが高い防水性です。レギュラーモデルの自動巻きアイコンは20気圧防水のスペックが与えられていますが、アイコン ベンチュラーはそれを上回る30気圧防水のスペックが備わります。そのためアイコンに比べて約10mm厚い、専用のステンレススチールケースが装備されています。

6角ネジが打ち込まれたりゅうずガード、ブラックコーティングが施されたりゅうずなど、スポーティーなフォルムがワイルドな雰囲気です。コーティングされたおかげで、りゅうずも操作しやすくなっています。

1ランク上の高級感を演出させるセラミック製回転ベゼル

ダイバーズウォッチに欠かせない装備の1つが逆回転防止ベゼル。アイコン ベンチュラーに装備される逆回転防止ベゼルはケースと同様に厚みのある形状が特徴です。ベゼルのサイドには大きく刻みが入るため、素手はもちろんのこと、グローブを着用した状態でも操作がしやすくなっています。

さらにダイビングスケールの目盛りが入るインサート部分はセラミック製を装備。近年のダイバーズウォッチではもはや必須といえるセラミック製を備えることで、1ランク上の高級感が感じられます。

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アイコン タイド

環境問題で最も問題視されているのが海洋プラスチックによる汚染です。多くの環境保護団体が取り組みを行っていますが、モーリス・ラクロアもこの取り組みに参入、その解答がアイコン タイドの発売です。

実機を見て思ったことは予想以上に軽いことです。プラスチックとグラスファイバーの組み合わせは想像以上の軽さを体感しました。発色に優れるカラーリングとその素材からチープな印象を持っていましたが、腕元に合わせるとそのイメージは感じません。

とはいえ、オンタイムには使用できないため、あくまでオフタイム用として割り切って使うのがこのモデルの正しい使い方ではないでしょうか。

タイド社とのパートナーシップで実現

ケースバックに大きく入る#tideの文字。こちらは、#tide ocean material社のことを表し、海洋プラスチックごみをリサイクル製造するスイスの企業です。モーリス・ラクロアはこの企業とパートナーシップを結び、アイコン タイドが発売されるに至りました。

ケースラグの部分には手軽にブレスレット、ストラップが交換できるイージーチェンジャブルシステムの突起が見えます。他のアイコンと同様にアイコン タイドも簡単にストラップを交換することが可能です。

ムーブメントはクオーツを搭載しているため、定期的な時刻合わせが不要。カラーバリエーションのラインアップも豊富に用意されているので、コーディネートに合わせて選択できるのが嬉しいですね。

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アイコン オートマティック

最後に紹介するのはお馴染みのアイコン オートマティックです。ラグジュアリースポーツの定番であるブルー文字盤はアイコンにおいても突出した人気を誇る文字盤カラーです。

今回はその定番カラーはあえて外し、大人の装いに映えるグレー(アンスラサイト)文字盤をセレクトしてみました。グレー文字盤は初めてじっくりと見ましたが、価格以上の高級感を感じました。10万円台前半の時計には見えません。

落ち着いた印象を与えるアンスラサイト文字盤

この落ち着いた文字盤はブラックに近いグレーのカラーリングで、アンスラサイト(濃炭色)と呼ばれています。このカラーにクル・ド・パリ装飾とゴールドのインデックス、針が落ち着いた印象を与えてくれます。

ブルー文字盤に比べ、さらに上質な印象といっても過言ではありません。

便利なイージーチェンジャブルシステム

アイコンがここまで人気を得た理由の1つがこのイージーチェンジャブルシステムの採用ではないでしょうか。専用工具を使用せず、簡単にブレスレットが取り外しできる機構は、オーデマ ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン、カルティエなどの名だたるブランドが採用し、市民権を得たもの。

とはいえ、この複雑な仕組みをミドル価格帯のアイコンに採用するのはかなり思い切ったことといえます。以前までは自動巻きモデルのみの装備だったイージーチェンジャブルシステムですが、最新モデルからはクオーツモデルにも搭載されています。ユーザーからの需要に応えたのでしょうね。

アイコン42mmとアイコン39mmの違いは？

アイコン オートマティックには42mmと39mmのサイズがラインアップされています。実機を見ればその違いは一目瞭然ですが、見た目の違いはあるのでしょうか？

上記、画像の赤枠部分に注目してください。日付表示の隣にダブルインデックスが装備されているのが42mm、付いていないのが39mmです。他にはバーインデックスの長さが42mmは少し長くなっています。

搭載されているムーブメント、スペック、価格ともに同一なので、どちらを選ぶかは好みになるでしょう。腕元に存在感が欲しい場合は42mm、あまり目立たせたくない方は39mmがおすすめです。ちなみに私は16.5cmの腕元ですが、42mmでも違和感は感じませんでした。

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まとめ

いかがでしたか？

今回はモーリス・ラクロアについて解説しました。アイコンといえばネイビー文字盤が注目されがちですが、他にも魅力的なモデルが存在します。

特に想像以上に魅力的な時計だったアイコン ベンチュラーはぜひ、実機をご覧いただきたいです。

当店ではご紹介したコレクション以外にも数多くのモーリス・ラクロアを取り揃えています。ぜひあなたにとってベストなモーリス・ラクロアを探してみてください。

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