腕時計ブランドを代表する知名度と人気を誇るロレックス。多くの腕時計ブランドが自社生産のムーブメントにこだわりを持つなか、ロレックスも長年にわたり自社生産にこだわってきたブランドです。
さらにロレックスにおいてはそれぞれの部品においても自社で製造する技術を誇る、マニュファクチュールブランドとして、その存在価値を高めています。
今回はムーブメントの観点からロレックスを紐解いていきたいと思います。ぜひ、最後までご覧ください。
cal.4130自動巻きクロノグラフ ムーブメント
ロレックスのムーブメントのこだわりは大きく2つが挙げられます。それが「精度」と「耐久性」です。当たり前のようでいて、とても難しい2つの項目を追求し続けているロレックス。使われている部品1つをとってみても、同社のこだわりを感じ取ることができるでしょう。
例えばムーブメントの要ともいえるひげぜんまい。多くの時計メーカーはニヴァロックス・ファー社が作るひげぜんまいを使用しています。
実物は髪の毛1本より細い、金属合金製のパラクロム・ヘアスプリング
自社で生産するのが難しいといわれているひげぜんまいですが、ロレックスでは自社で開発したひげぜんまい(上記画像の赤丸参照)を採用しています。2004年にはパラクロム・ヘアスプリングをブルーのカラーに変更。2014年からはレディース向けムーブメントにシリコン製のシロキシ・ヘアスプリングを採用しています。ともにロレックスが自社で開発したひげぜんまいで、優れた耐磁性を誇ります。
ムーブメント以外にも、ケース、ブレスレットの製造・加工、文字盤、ダイヤモンドのセッティングに至るまでロレックスは自社で行っています。さらに、ロレックスのムーブメント内に流れる潤滑油はロレックスが自社で開発、製造しており、徹底して自社内で完結させる稀有なメーカーといえるでしょう。
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左:CHRONOMETER表記 右:現在はSUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIEDの表記
時計の精度を公的機関で認定するクロノメーター。ロレックスは1910年に腕時計としては初めてクロノメーターを取得したブランドです。ブランド創世記に生産されたモデルの文字盤には「CHRONOMETER」が誇らしげに表記されていますが、時代の移り変わりで表記の記載が異なっていきます。
1930年代ごろには「OFFICIALLY CERTIFIED CHRONOMETER」、その後は「SUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED」と記載されます。
チューダー ブラックベイ 54 Ref.79000N-0001
兄弟ブランドのチューダーもロレックスと同様にクロノメーターの表記が入る
現在のクロノメーターはスイス公認クロノメーター検定協会、通称COSC(Controle Official Suissedes Chronometres)の規定をクリアしたもののみに与えられる称号です。外部の公的機関が認定している時計、すなわちお墨付を得たムーブメントを備えている証明になります。
ロレックスではさらにその2倍に匹敵する厳しい検査を自社で改めて行います。実際の使用状況をシミュレーションした独自の検査方法で、検査を通過したものが市場に流通。そのため、ロレックスのムーブメントの精度日差は-2~+2 秒と驚異的な精度を誇ります。
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Watches & Wonders Genevaならびにロレックス公式で新作発表を行うロレックスですが、ここ数年は新型モデルの発表と同時にムーブメントを新世代へと置き換えを行うことが定例となっていました。2024年に、全てのコレクションが新世代へと切り替わったものの、2025年以降には次世代のムーブメントが登場することも予想されます。
ここからはロレックスが長年にわたり世代交代を行ってきたムーブメントに焦点を当て、現行で展開されるcal.3200系と旧世代のcal.3100系についてご紹介していきます。
2015年のバーゼルワールドで登場したデイデイト40の心臓部に搭載されていたのがcal.3255です。それまでのcal.3100系からcal.3200系へと新世代に移行したことで、当時は大きな話題を集めました。
従来のcal.3155から90%以上に及ぶ部品の再加工が施されていることや、独自の脱進機であるクロナジー エスケープメントの搭載がポイントです。
ほかにも70時間のパワーリザーブを標準採用することで、それまでの48時間から大きく伸長。時流に合わせた最新鋭のムーブメントへと進化しました。
サブマリーナー デイト Ref.126610LV
エクスプローラー Ref.124273
GMTマスターII Ref.126713GRNR
デイデイト 36 Ref.128236A
搭載モデル
サブマリーナー デイト、ヨットマスター、シードゥエラー、ディープシー、デイトジャスト
駆動方式:自動巻き、パワーリザーブ:70時間、機能:3針+デイト
デイデイトに搭載されたcal.3255ムーブメント登場の翌年に誕生したのがcal.3235です。ロレックスの最多量販コレクションであるデイトジャストから搭載され、その後はcal.3135ムーブメントを搭載するコレクションに随時搭載されていきます。2020年のサブマリーナー デイトの刷新により、cal.3135からcal.3235の新世代への切り替わりが完了しました。
搭載モデル
エクスプローラー、サブマリーナー、オイスター パーペチュアル
駆動方式:自動巻き、パワーリザーブ:70時間、機能:3針
cal.3235ムーブメントからデイト機能を取り外したシンプルなムーブメントがcal.3230です。エクスプローラー、サブマリーナー、オイスター パーペチュアルに搭載されるcal.3230は全てのロレックスと同様にSuperlative Chronometer(高精度クロノメーター)が認定されています。高性能パラフレックスショック・アブソーバによる耐衝撃性も特徴です。
搭載モデル
GMTマスターII、エクスプローラーII
駆動方式:自動巻き、パワーリザーブ:70時間、機能:3針+デイト+GMT
ロレックスを代表するGMT機構を搭載するGMTマスターIIとエクスプローラーIIに搭載されるのがcal.3285ムーブメント。ロレックスの全てのムーブメントで唯一、短針が単独で動く機構を持ちます。クロナジー エスケープメント、パラフレックスショック・アブソーバなど、ロレックスの最新鋭の技術が投入されています。
搭載モデル
デイデイト40、デイデイト36
駆動方式:自動巻き、パワーリザーブ:70時間、機能:3針+デイト+デイ
cal.3200系へと切り替わるトップバッターになったのがロレックス最上位のデイデイトです。14件もの特許が投入された新世代ムーブメントcal.3255は、それまでの48時間パワーリザーブから70時間へと大幅に伸長。実用性が大幅に向上されています。
ロレックスのプロフェッショナル(スポーツ)モデル黎明期である1950年代から1960年代に、基幹ムーブメントとしてロレックスを支えていたcal.1500系のムーブメント。すでに半世紀が経過している現在でも、定期的なメンテナンスを行うことで日常使用ができる耐久性の高さは「ロレックスの傑作ムーブメント」と語られているほどです。
このcal.1500系の後継ムーブメントとして生産されたのがcal.3000系。それまでの毎時19,800振動から毎時28,800振動へ進化させた過渡期のムーブメントを経て、より完成度を高めています。1988年あたりから登場したcal.3100系は、2023年まで搭載されていたロングセラーとしても歴史に名を刻むムーブメントです。
サブマリーナー デイト Ref.116610LN
エクスプローラー Ref.214270
エクスプローラーII Ref.216570
デイデイト Ref.118238A
搭載モデル
サブマリーナー デイト、デイトジャスト、シードゥエラー、ヨットマスター
駆動方式:自動巻き、パワーリザーブ:48時間、機能:3針+デイト
1977年にハイビート化されたcal.3035ムーブメントをベースに、てんぷをダブルブリッジに改良したのがcal.3135です。ロレックスの基幹モデルであるデイトジャストをはじめ、主要コレクションに搭載されていたムーブメント。安定した精度と耐久性を誇り、長期間にわたり多くのロレックスの心臓部を支えたムーブメントといっても過言ではありません。
搭載モデル
エクスプローラー、オイスター パーペチュアル39
駆動方式:自動巻き、パワーリザーブ:48時間、機能:3針
2010年に登場したエクスプローラー Ref.214270、オイスターパーペチュアル 39に搭載されていたムーブメントがcal.3132。耐震装置にパラフレックス ショック アブソーバ、ひげぜんまいにブルーパラクロム ヘアスプリングが装備されたことで、耐衝撃性や耐磁性能が強化されています。
搭載モデル
エクスプローラーII
駆動方式:自動巻き、パワーリザーブ:48時間、機能:3針+デイト+GMT
2011年から2021年まで生産されていたエクスプローラーII Ref.216570に搭載されていたムーブメントがcal.3187です。当時、生産されていたGMTマスターIIのcal.3186と同等の機能を持ち合わせながらも、cal.3187は耐震装置が強化されているのが特徴。過酷な使用条件下を目的としているエクスプローラーIIに相応しい機能が装備されたムーブメントです。
搭載モデル
デイデイト
駆動方式:自動巻き、パワーリザーブ:48時間、機能:3針+デイト+デイ
ロレックスの最上位に位置するデイデイト専用のムーブメントとして開発されたcal.3155。前型のcal.3055に改良が施されており、曜日に早送り機構が備わったことで実用性が向上したムーブメントです。2015年に後継型であるcal.3255が登場するまで、長期間にわたり生産されました。
ここからはロレックスが誇る複雑ムーブメントの代表格であるクロノグラフ、年次カレンダーについてご紹介していきます。いずれもロレックスが製造するムーブメントだけに、こだわりが凝縮されているのが特徴です。
コスモグラフ デイトナ Ref.6263
バルジュー社製ムーブメントを改良したcal.727を搭載
機械式時計のなかでも複雑な機構の1つがクロノグラフです。2000年に自社開発したcal.4130クロノグラフ ムーブメントが登場するまで、ロレックスは他社のクロノグラフ ムーブメントに改良を加えたムーブメントを搭載してきました。
ヴィンテージロレックスとしてその名が知られる手巻きデイトナはバルジュー社製。初めての自動巻きクロノグラフ ムーブメントはゼニス社製エル・プリメロをベースにそれぞれ改良を施しながら使用していました。
コスモグラフ デイトナ Ref.16520
ゼニス社製エル・プリメロを改良したcal.4030が搭載
そこで得たノウハウを自社開発したcal.4130クロノグラフ ムーブメントに生かしたのです。
コスモグラフ デイトナ Ref.126505
2023年に登場した新型ムーブメントcal.4131を搭載するRef.126505
2023年にムーブメントが小改良を施され、cal.4130からcal.4131へと進化を果たします。巻き上げ効率が図られた自動巻きローター、一般的なコート・ド・ジュネーブとは異なる、独自の「ロレックス コート・ド・ジュネーブ装飾」が施されているのが特徴です。
2012年にラインアップに加わったロレックス初の年次カレンダーコレクションがスカイドゥエラー。年次カレンダーとは月末の30日と31日を自動的に識別するため、2月以外は自動で日付が切り替わる実用的な機構を備えます。ロレックスの年次カレンダー(サロス年次カレンダー)はさらに24時間表示を組み合わせることで、2カ国の時刻を文字盤上に表示させることが可能です。
①ホームタイムを表示。➁赤の表示が現在の月を表示
ロレックス独自の機構として挙げられるのが、リングコマンドシステムです。フルーテッドベゼルを起点に、りゅうずを動かすことでカレンダー(日付と月の表示)、ローカルタイム、ホームタイムを変更することが可能です。このユニークなシステムはロレックスの特許技術として、時計業界に新たな歴史を刻んだといえます。
ロレックスの名声を確立させた立役者の1つとして挙げられるのが、名機と呼ばれるムーブメントの存在です。今回はその長い歴史のなかでも押さえておきたいムーブメントをピックアップしました。
cal.1570自動巻きムーブメント
1960年代半ばから1980年代まで長きにわたりロレックスを支えたといっても過言ではないのがcal.1570(cal.1500系)ムーブメントです。
それまでロレックスが搭載していたムーブメントは手巻きに巻き上げ機構を組み合わせたものでしたが、このcal.1570の世代からは自動巻きムーブメントの専用設計として誕生したもの。そのため、自動巻き時計の要ともいえる巻き上げ効率が大きく向上しました。
エクスプローラーやサブマリーナーに代表されるスポーツモデルに搭載されることでも分かるように、その耐久性も折り紙付き。現在でも定期的なメンテナンスを行えば十分デイリーで使用することができるところも傑作ムーブメントと呼ばれる所以です。
cal.1225手巻きムーブメント
先述しているcal.1570と同時期に開発、生産されていたcal.1225(cal.1200系)も傑作として上げられるムーブメントの1つ。こちらは現在のロレックスの主流である自動巻きではなく、手巻きムーブメントです。
ロレックスといえば3大機構の1つである「パーペチュアル」に代表される自動巻きのイメージが強いものの、手巻きムーブメントの実力も侮れません。
自動巻きローターを装備しないことから、ムーブメントの厚みも抑えられており、部品も少ないためメンテナンスコストもかからない経済的なムーブメントです。
40年以上前に生産は終了していますが、現在も正常に動作するムーブメントが多いことからも、その優れた耐久性は実証されているといえます。
いかがでしたか?
今回はロレックスについてムーブメントの観点から焦点を当ててみました。知れば知るほどにロレックスのこだわりが感じられたのではないでしょうか?
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cal.3235