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2019/9/6

手巻きとは?趣味性の高い手巻き腕時計の魅力を徹底解説!

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手巻きとは?趣味性の高い手巻き腕時計の魅力を徹底解説!

いつも手元で正確な時を刻んでくれる便利な腕時計。腕時計の針を動かすためにはエンジン(動力源)が必要です。このエンジンのことをムーブメントといいます。現在メンズ腕時計のムーブメントで最も主流なのは、巻き上げたぜんまいがほどける力を利用して針を動かす「機械式」。 機械式ムーブメントは「自動巻き」と「手巻き」の大きく2つに分けられます。ここでは「手巻き」の機械式時計について詳しく解説したいと思います。

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1.「手巻き」の腕時計とは?

機械式時計の針を動かすには、まずぜんまいを巻きあげる必要があります。巻きあげられたぜんまいが元に戻ろうとしてほどける際に、エネルギーが生まれます。そのエネルギーを利用して、振り子の原理を働かせることで一定の周期で時を刻み続けることができるのです。

機械式腕時計の「自動巻き」と「手巻き」は、このぜんまいの巻き上げ方の違いによって分類されます。読んで字のごとく、「手巻き」の時計は手でりゅうずを回すことでぜんまいを巻き上げます。対して「自動巻き」の時計は人の手を介さず、ローターが回転することでぜんまいを巻き上げてくれるメカニズムを搭載しています。

初の自動巻き腕時計が誕生したのは1920年代に入ってからのこと。それまでの腕時計には手巻きのムーブメントしか存在しませんでした。現在では機械式の腕時計の中でも手巻きは数が少なく、自動巻きが主流となっています。

そこに至るまでにはどのような変遷があったのでしょうか?歴史を簡単に振り返ってみましょう。

2.手巻きから自動巻き腕時計への変遷

原点は"懐中時計"

携帯用の時計として腕時計が誕生する前の時代。その原点は懐中時計(ポケットウォッチ)でした。懐中時計の始まりは17世紀ごろといわれています。スイスやフランスを中心に製造されたそれらは、時針のみで分針を備えていませんでした。当時は分針があっても意味をなさないほどの精度しかなかったためです。この頃の懐中時計は彫金やエナメル彩(七宝)を施されたものが多く、時間を知る実用的なツールというよりは王侯貴族のための芸術品という位置づけでした。

清の皇帝に献上されていたボヴェ社のポケットウォッチ
清の皇帝に献上されていたボヴェ社のポケットウォッチ。19世紀後半の作品で開閉式のケースバックを開けると細部にいたるまで装飾が施された美しいムーブメントを見ることができる

手巻きムーブメントの歴史は、時計技師たちによる飽くなき精度への挑戦の歴史です。現存するウォッチメーカーで最古の歴史を誇るのは1735年創業のブランパン。1755年創業のヴァシュロン・コンスタンタン、1775年創業のブレゲが後に続きます。

機械式ムーブメントの発展は、ブレゲの創業者であるアブラアン-ルイ・ブレゲを抜きには語れません。ブレゲは「今ある時計機構の3/4を発明した」とも「時計の歴史を200年早めた」ともいわれる不世出の天才時計技師でした。世界三大複雑時計機構といわれる「トゥールビヨン」「ミニッツリピーター」「パーペチュアルカレンダー」を発明し、実用に耐えうるレベルの「自動巻き懐中時計」すら、当時、既に彼の手によって生み出されていたのです。

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懐中時計から腕時計の時代へ

初の自動巻き腕時計が誕生したのは1920年代に入ってからのこと。第1号のパテントはイギリスの時計職人ジョン・ハーウッドによって取得され、1926年にブランパンと共同で商品化されました。1931年にはロレックスが全回転式のパーペチュアル機構を世に出したほか、各時計メーカーが競って自動巻きムーブメントを開発していきました。

“ぜんまいを手で巻く煩わしさから解放されたい”という発想から進化を続けた自動巻きムーブメントの陰で、手巻きムーブメントは活躍の場を減らしていきます。現在では機械式のムーブメントのほとんどは自動巻きに置きかわりました。

ですが、依然として手巻きムーブメントの愛好者は根強く存在します。スマートフォンやパソコンといったデジタルが支配する時代だからこそ、手で巻かないと止まってしまう手巻き時計のアナログな魅力が人々を魅了しているのかもしれません。

3.手巻き腕時計の魅力

古き良き時代からの伝統を感じさせてくれる手巻きの腕時計。そこにはどんな魅力があるのでしょうか?ここでは手巻きのメリットとデメリットをご紹介したいと思います。

手巻きのメリット

手巻きの腕時計には以下のメリットがあります。

 メリット①  部品が少ない分、時計のケースが薄くて軽い
手巻きの時計は自動巻きのように機構の中にローターが組み込まれていないためその分軽く、また、厚みを抑えることができます。ドレスウォッチなど袖口に引っかかりにくいスマートさが求められる時計は、手巻き式が採用されることが多いといえます。

 メリット②  メンテナンスコストが低い
手巻きムーブメントは自動巻きに比べると部品が少なく、故障時やオーバーホールにおいてメンテナンスコストが抑えられるのもメリットの1つ。さらに、ローターが外れるなど、自動巻きにあり得るローター絡みのトラブルとはまったく無縁です。

 メリット③  趣味性が高い
りゅうずをあえて手で巻き上げる手間を、時計に命を吹き込む儀式のように感じる人は多いものです。その時間を愉しむことは、余裕のあるオトナだけに許される醍醐味。手巻きの腕時計を好む人にとっては、そういった手間暇がかかるところこそ、単なるツールを超えて愛機と呼ぶのに相応しい存在として魅力的に感じる部分なのではないでしょうか。

 メリット④  シースルーバックモデルで美しい機械が堪能できる
高級機に見られる人気の仕様、シースルーバック(バックスケルトン)の時計において、機構を隠すように組み込まれたローターが邪魔をしない手巻きの腕時計は、中の機械の美しさを存分に堪能することができます。無数の小さな部品が組み合わさって時を刻む繊細な機構はまさに芸術品です。

手巻きと自動巻きのムーブメントの違い
左は手巻きのオメガ・スピードマスター プロフェッショナル バックスケルトン Ref.3573.50、右は自動巻きのオメガ・スピードマスター 57 クロノグラフ Ref.331.10.42.51.01.001。手巻きはローターがないためムーブメントの様子が見やすいモデルが多い

手巻きのデメリット

一方で、手巻きには以下のデメリットもあります。

 デメリット①  都度手で巻く必要がある
手で巻き上げないと止まってしまう手巻きの腕時計。そこに愛着を感じる人がいる一方で、使用の都度りゅうずを巻いたり、時刻を合わせるのが手間と感じる人も多いでしょう。ただし最近は、一度巻き上げると72時間からなんと1週間以上も動き続けるという超ロングリザーブモデルなども登場しており、わかりやすくメーカーの技術力を推し量れる部分でもあります。

 デメリット②  生産数が少なく、商品選択の幅が狭い
現在流通している機械式の腕時計はその多くが自動巻き。手巻きムーブメントを搭載するモデルは数が少なく、製造しているブランドも限られます。商品選択の幅が自動巻きより狭く、かつ量産しないことから価格も高くなる傾向があります。

 デメリット①  理論上精度が安定しない
腕の日常動作で常にぜんまいが巻き足される自動巻きに比べ、一度りゅうずを巻くとあとはぜんまいがほどける一方の手巻きは精度が安定しにくいというデメリットがあります。

手巻き腕時計の注意点

自動巻きに比べると部品数が少なく、ローター絡みのトラブルがないため扱いやすいように思える手巻きの時計ですが、手巻きの時計ならではの注意点もあります。それはりゅうずに関すること。手巻き時計を停止した状態から使用する場合は通常約40回前後巻くようにしましょう。

ぜんまいが全て巻き上がると、それ以上に手巻きができなくなり、この状態を「巻き止まり」といいます。巻き止まりの状態から無理に巻き上げようとするとぜんまいが破損してしまうため注意が必要です。メーカーによっては巻き止まりがなく、りゅうずの巻きすぎによって破損しないように工夫されているモデルもあります。

複数本の時計を毎日使い分けている人は別として、手巻き時計1本を愛用しているならば「毎朝〇時、朝食の前に〇〇回巻く」など、ルーティンとして決めておくのもおすすめです。同じ条件を守ることにより、時計の進みや遅れなど状態の変化にいち早く気付くことができます。時計が自身の一部のように感じられ、愛着が増すこと請け合いです。

5.メンズにおすすめの手巻き腕時計

手巻きモデルをラインアップするメーカーは多くはありませんが、だからこそ、そのメーカーのこだわりが詰まっているともいえる手巻きの腕時計。ここではこだわり派のメンズにおすすめのブランドをご紹介します。

オメガ スピードマスター プロフェッショナル

オメガの最もアイコン的なモデルの1つであるスピードマスター プロフェッショナル。1969年にバズ・オルドリン博士が月面に着陸した際、このスピードマスター プロフェッショナルを付けていたことから“ムーンウォッチ”と呼ばれるようになりました。以降6回の月面着陸のミッション全てに携行されたスピードマスター プロフェッショナルは、この偉業を後世にとどめるため、当時と同じく手巻きムーブメントを搭載することにこだわり続けています。

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オリエント

日本が世界に誇る第三の時計メーカー「ORIENT」(現在はセイコーエプソンの完全子会社)。オリエントの時計には個性的な意匠やカラーリングが多く、その独自の世界観に魅了されるファンも多いブランドです。本格的な機械式ながら価格帯も良心的で、人とは少し違うものを選びたいこだわり派の方におすすめです。

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ノモス タンジェント

「ドイツ時計の聖地」であるグラスヒュッテで1990年に創業した比較的新しいブランドであるノモス。ドイツらしいソリッド感の溢れる、シンプルの極みとも言える無駄のないデザインが特徴で、国際的なデザイン賞を数多く受賞しています。技術力にも定評があり、手巻きムーブメントを搭載するモデルラインアップが極めて多いブランドでもあります。 中でも代表的なモデルであるタンジェントはシンプルにしてスタイリッシュ。端正なラウンドケースと繊細な直線からなるモダンクラシックなデザインは、ブランド創業以来ベストセラーを保ち続けるドイツウォッチの定番です。

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ランゲ&ゾーネ

ノモスと同じくドイツ・グラスヒュッテの時計メーカーであるA.ランゲ&ゾーネ。最高精度・最高品質を誇る世界最高の時計メーカーです。現在ラインアップされているモデルをみても自動巻き5モデルに対し手巻きは19モデルと、手巻きムーブメントに圧倒的なこだわりのある稀有なブランド。微に入り細を穿つ美しい手巻きのムーブメントはもはや芸術の域。31日間(744時間)の超ロングパワーリザーブを備えるランゲ31が代表する超越的な技術力など、腕時計愛好家であれば一度は夢をみる、手巻き腕時計の最高到達点といっても過言ではないでしょう。

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6.レディースにおすすめの手巻き腕時計

クオーツモデルが主流のレディースウォッチの中で手巻きモデルがラインアップされているメーカーはメンズよりもさらに数が限られます。それだけに、選ばれし高級ウォッチとしてクラス感はたっぷり。ここでは本物志向のレディースにおすすめのブランドをご紹介します。

パテック フィリップ カラトラバ

世界三大時計ブランドの頂点に君臨するパテック フィリップ。その代表的なモデルがカラトラバです。ラウンドケースに2針または3針のデザインで、誤魔化しの効かない究極にシンプルなデザインだからこそ、その高級感や美しさが一層際立つモデルです。

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ジャガー・ルクルト レベルソ

スイスのル・サンティエに拠点を置く1833年創業の高級時計マニュファクチュールであるジャガー・ルクルト。そのアイコン的モデルがレベルソです。「レベルソ」とはラテン語で「反転する」という意味。その名の通り、ケースを横にスライドさせて裏返しにできる機構を備えています。先日小泉進次郎氏との結婚を発表した滝川クリステルさんもレベルソの愛用者。クラシカルなデザインが魅力的なドレスウォッチとして愛され続けるモデルです。

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オーデマ ピゲ ミレネリー

世界3大高級時計メーカーと称される歴史有る時計メーカー、オーデマ ピゲ。芸術的な手巻きムーブメントの動きを表から眺めることができる大胆な意匠は、時の鼓動そのものを感じさせてくれます。

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7.長持ちさせるにはオーバーホール

クオーツと違って電池切れの心配がない機械式時計ですが、部品の摩擦や潤滑油の劣化によって時計の精度が落ちてしまったり、そのまま放置していると最悪の場合故障してしまうことも。完全に故障してしまったがために思った以上に修理費用が膨らんでしまった、なんてことは避けたいですよね。

そのような事態を防ぎ、長く安心して使用するためには、やはり定期的なメンテナンス(オーバーホール)が必要不可欠です。

オーバーホールの作業風景

「オーバーホール」とは分解掃除の作業のこと。時計の部品を1つ1つ分解し、各部品の摩耗や経年変化を調べ、その時計本来の状態に組み立てなおす作業です。

作業の主な流れとしては時計ケース(裏ぶた)を開けてパーツを分解し洗浄、消耗の激しいパーツについては交換し、パーツを組みなおして注油し、最後に動作のチェックを行います。

使用頻度が低いからといってメンテナンスしなくていいというわけではありません。やはり時計も消耗品。長い間使用していると油切れを起こし、各部分が機能的に働かなくなります。

手巻きの時計は3~5年に1度を目安にオーバーホールに出しましょう。また、音がおかしい、日差が大きすぎる、時計が動かないなどの場合は上記の期間に当てはまらなくてもオーバーホールを依頼してみましょう。

8.まとめ

いかがでしたか?

自動巻きが主流の世の中にあって、あえて手巻きのムーブメントが搭載された時計は、技術力に定評のある実力派メーカーがこだわりをもっているモデルであることの何よりの証。 予算やデザインの好みなどからぜひお気に入りの一本を見つけてみましょう! 新品で予算が合わない場合は中古商品を視野に入れるのも手。

ジャックロードおよびベティーロードでは新品も中古も豊富に在庫しており、在庫のない商品も取り寄せできる場合があるためぜひ問い合わせてみてください。

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