2022年3月30日15時30分(日本時間)、チューダーの2022年新作が発表されました。ロレックスと時を同じくした新作発表に、おそらく世界中のファンが熱い視線を送ったことでしょう。
そして何とその数日後、当店ジャックロードに早くも2022年新作モデルの1つ、ブラックベイ クロノ S&G Ref.79363N-0007が入荷してまいりました。数日前に公式サイトで見たばかりのあの新作を前にして、スタッフたちも興味津々!
そこで今回は、手に取ってこそ分かる臨場感溢れる実機レビューを、着用イメージをたっぷり交えてお届けしたいと思います!ぜひ最後までお楽しみください。
さっそく当店に入荷したブラックベイ クロノ S&G Ref.79363N-0007。
私が実機を手に取ってみて感じたこと、それはカタログイメージから脳内で再現していたよりも、はるかに上品でクラシックな印象の時計だということです。
実際、同じくこの新作を手に取って眺めていた当店の女性スタッフも「コンビモデルだからもっとギラついているかと思ったけど、品があってすごくいい」と感想を述べていました。
意外にもおとなしめ?上品な佇まいのブラックベイ コンビモデル
この時計の魅力は次の3点に集約されています。
まずはSS×YGのコンビモデルで、さらにその中でもイエローゴールドの面積がかなり広い部類であるにも関わらず、どこか控えめでヴィンテージライクな雰囲気をまとっている点。
見た目はクラシカルでも、中身にはクロノメーター認定を受けた自社製ムーブメントの搭載やダイバーズウォッチに匹敵する防水性能など、最新のスペックが与えられている点。
そしてこのクラスの時計としては非常にリーズナブルな価格設定である点です。
さて、このブラックベイ クロノ S&G Ref.79363N-0007の醸し出すヴィンテージライクな雰囲気がどこからくるのか、1つ1つ理由を紐解いていきましょう。
さっそく入荷してきたブラックベイ クロノ S&G Ref.79363N-0007。ヴィンテージライクな印象の秘密はいったい…?
この時計が属するブラックベイ コレクションのルーツは、1950年代にチューダーが製造していたプロフェッショナル用のダイバーズウォッチです。イカ針、薔薇ロゴの入った大きなりゅうず、ドーム風防、リベットブレスなど、当時の意匠を散りばめたデザインが現代的なダイバーズウォッチに独特の雰囲気を与えています。
ブラックベイ コレクションは2012年に発表されるやいなや、迷走気味だったチューダーを一躍人気ブランドへと押し上げるほどの大成功を収めました。そしてその上位モデルとして2019年に誕生したのがブラックベイ クロノ S&Gです。ちなみにS&Gとはスティール&ゴールド、つまりはコンビモデルであることを指します。
ロレックスと違いゴールドの無垢モデルを展開しないチューダーにとって、S&Gはラグジュアリーな立ち位置にあるモデル。まずはブラック×ゴールド文字盤が発売され人気を得ました。今回ご紹介する2022年の新作モデルは、その流れを汲んだシャンパンゴールド×ブラック文字盤です。
当店ジャックロードでも人気のあるブラック文字盤とのツーショット
普通であれば、イエローゴールドの時計は華やかで派手な印象を持ち合わせるもの。ですがこのS&Gシリーズは、コレクションのコンセプトに合わせて華美になりすぎないように工夫が凝らされています。
イエローゴールドにあえてサテン仕上げが施されたブレスレットやりゅうず
その最たるものは、全てにサテン仕上げが施されたイエローゴールドパーツでしょう。この効果は非常に大きく、ヴィンテージライクな世界観へと大きく寄与しています。
同じコンビモデルであるロレックス デイトナと比較すれば、そのコンセプトの違いは明白です。ロレックスはデイトナのイエローゴールド全てにポリッシュ(鏡面)仕上げを施すことで、ラグジュアリー然とした華やかさを演出しています。
ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.116503
デイトナのコンビモデルのゴールドパーツは全てポリッシュ仕上げが施されている
ロレックスとチューダー、かつてはパーツを共有した姉妹ブランドのクロノグラフウォッチでありながら、仕上がりの雰囲気は全く異なります。その目指す路線の違いが良い差別化となって、近年の熱狂的なチューダーファンを生みだしているともいえるでしょう。
2レジスターのクロノグラフがヴィンテージライクな雰囲気を演出
ブラックベイ クロノ S&Gをヴィンテージライクな雰囲気たらしめるもう1つの要因が、2レジスターのインダイヤルです。これは50年に及ぶチューダー クロノグラフの歴史に深く関係しています。
まずはチューダー クロノグラフの歴史を振り返ってみましょう。
オイスターデイト クロノグラフ Ref.7032/0
1970年代らしいカラフルなカラーリングと2レジスターのインダイヤルが特徴
チューダーのクロノグラフウォッチの歴史は1970年から始まります。“オイスターデイト クロノグラフ”とネーミングされたこのモデルは、汎用性の高さに定評のある手巻きクロノグラフムーブメント、バルジュー社製cal.7734を搭載していました。
インダイヤルのレイアウトはムーブメントの設計に合わせて3時位置に45分積算計、9時位置にスモールセコンド(秒針)という2レジスター。6時位置の日付表示とホームベース型のインデックスも個性的な印象に一役買っていました。積算計をあえて一般的な30分ではなく、45分としたことも特徴的です。
クロノタイム Ref.79280
クロノタイムの最終型番に該当するRef.79280。クロノタイムは12時、6時、9時位置の3レジスターが採用されていた
さて、1976年、チューダーは“ロレックスのディフュージョンブランド”というイメージの払拭に乗り出します。ロレックス デイトナに10年以上先行して、自動巻きクロノグラフムーブメントを搭載した“クロノタイム”を発表したのです。
クロノタイムの心臓部には、優れた耐久性と信頼性を誇るバルジュー社製ムーブメントcal.7750が選ばれました。このcal.7750を搭載するにあたり、チューダーのクロノグラフはインダイヤルのレイアウトが縦に配置される3レジスターデザインへと舵を切ります。6時位置に12時間計、9時位置に秒針、そして12時位置の積算計は45分から30分に変更されました。
クロノタイムはその高い完成度と優れたコストパフォーマンスで約30年にわたるロングセラーとなりますが、2005年頃に生産を終了。その後チューダーは次世代クロノグラフモデルを模索すべく、長いあいだ試行錯誤を繰り返します。
そして2017年、ついにチューダーを代表する人気コレクションであるブラックベイからブラックベイ クロノグラフが誕生したのです。
ヘリテージ ブラックベイ クロノグラフ Ref.79350
デザインはクラシックな2レジスタークロノグラフに回帰されている
ブラックベイ クロノは、ムーブメントを汎用から自社製へと切り替えことで、インダイヤルのデザインに自由度が与えられました。そのためブラックベイ クロノのレイアウトは、念願だったチューダークロノグラフの第一世代へと原点回帰を果たすことに成功したのです。
同時に、特徴的だった45分積算計も復活しました。ブラックベイ クロノのどこか懐かしい印象は、このチューダーの伝統的な2レジスターにあるといえそうです。
最後に、ブレスレットや風防についても言及しておきましょう。
まず、ロレックスやチューダーのヴィンテージウォッチで人気のブレスレットといえば、リベットタイプのデザインです。
ヴィンテージサブマリーナー(左)とブラックベイ クロノ(右)
ブラックベイは人気のリベットブレスレットを再現している
ブラックベイ コレクションは当然のようにこのリベットブレスレットを踏襲しています。
さらに、風防にもヴィンテージにおける人気のディテールを取り込んでいる点にも注目です。ブラックベイは、1950年代当時のドーム型プラスチック風防をサファイアクリスタル製に置き替えて、現代的に再現しています。
風防はサファイアクリスタル製でドーム型を再現
このように、細かい部分まで抜かりなくコンセプトを貫く姿勢が、ブラックベイ クロノ S&Gのヴィンテージライクな雰囲気の正体といえるでしょう。
さて、みなさんがやはり気になるのが、サテン仕上げが施されたイエローゴールドパーツの輝き具合ではないでしょうか?
室内の光と太陽光、両方で撮影してみましたのでご覧ください。
室内で撮影したブラックベイ クロノ S&Gは落ち着いた雰囲気
太陽光に当てるとイエローゴールドらしい華やかな表情に一変!
ご覧のように室内ではシックで落ち着いた印象ですが、太陽光の下ではコンビモデルらしい華やかな雰囲気も感じることができます。ただ、あくまでもギラリとはしておらず、イエローゴールドの持つ深みのある色合いを一層感じることができる、といった印象でしょうか。
こちらはぜひ実物を手に取って実感していただきたいところです。
ブラックベイ クロノ S&Gは、クロノグラフ以外にも優れたスペックが与えられています。それが200mの防水性です。
ダイバーズなどの本格スポーツウォッチは別として、腕時計のクロノグラフ搭載モデルは防水性があまり重視されない傾向にあります。一般的なりゅうずに加え、クロノグラフを操作するためのボタンが増えることで防水性を損ないやすいからです。
ちなみに、ロレックスのデイトナの防水性能は100m、オメガのスピードマスターも50m~100mとなっています。
クロノグラフの操作はスクリュー式プッシャーを解除してから作動させる
ところがブラックベイ クロノ S&Gは、クロノグラフモデルでありながら200mの防水スペックが与えられています。クロノグラフを作動させるプッシャーをスクリュー式にすることで、防水性能をアップさせているのです。
現在の技術において200m防水は珍しくありませんが、この価格帯の時計で意欲的に取り組んでいる姿勢には好感が持てます。
ちなみに、この時計に搭載されている自社製クロノグラフムーブメントは cal.MT5813。ブライトリングの名ムーブメント「Breitling 01」をベースにチューダー独自の改良を加えた、ハイスペックムーブメントです。パワーリザーブは約70時間。C.O.S.C.認定を取得した信頼性の高さも魅力的です。
このように、ヴィンテージ然とした見た目とは裏腹に実は優れたスペックを誇るところも、腕時計好きにはたまらない要素ではないでしょうか。
チューダー ブラックベイのセンセーショナルなデビューは、現在まで続くチューダー躍進のきっかけとなりました。
特筆すべきはその戦略的な価格です。優れたデザインやスペックに対してブラックベイの販売価格は総じて良心的であり、多くのライバルブランドに強い衝撃を与えました。
加えてロレックスの姉妹ブランドという歴史的な側面と、であるにも関わらずデザインにおける差別化に成功したブラックベイは、ロレックスのシェアさえも脅かす存在へと拡大しています。
ブラックベイ クロノ S&Gとデイトナ。共にブランドを代表するクロノグラフモデル
それでは、ロレックス デイトナのコンビモデルと比較してメーカー希望小売価格はどれほど違うのでしょうか?
チューダー ブラックベイ クロノ S&G Ref.79363N-0007
メーカー希望小売価格826,100円
ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.116503
メーカー希望小売価格1,934,900円
その差は何と1,108,000円!
2レジスター、3レジスターと抜本的な違いがあるものの、この差は驚きの結果ではないでしょうか。
とはいえ、チューダー ブラックベイ クロノ S&G Ref.79363N-0007はまだ発売して間もないことから、実勢価格はプレ値が付いている状態です。ちなみに当店販売価格は998,000円(2022年4月時点)と、100万円以内に収まる価格で販売しています。
自社製クロノグラフムーブメントを備えたコンビモデルでこの価格は、時計専門店スタッフの目から見ても魅力的といえるでしょう。
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41mm幅のケースは16.5cmの手首にバランスよく収まるサイズ
ここからは私が実際に着用したレビューをお伝えしていきます。ちなみに私の手首サイズは16.5cmです。
ブラックベイ クロノ S&Gのケース幅は41mmで、これはロレックス サブマリーナーと同一サイズです。グローバルモデルとしてはスタンダードなサイズといえます。
見た目においては体型によりますが、日本人の腕元には少し大きく感じるかもしれません。特にクロノグラフボタンとりゅうずが数値以上の存在感を与えるからです。
ところが実際に着用してみるとしっくりと腕元に収まり、数字上のスペックだけでは判断できないことを感じました。
厚みのあるケースのサイドビューに劣らない、頑強なクラスプ部分に注目
大きいサイズのりゅうずは操作性に優れ、ねじ込みを解除してからの日付、時刻それぞれの調整は快適に行うことができます。りゅうずのエンドピースにチューダーローズが入るのも、こだわりが見られていいですね。
クロノグラフボタンは200m防水のスペックが与えられていることから、スクリュー式プッシャーが採用されています。クロノグラフを作動させるにはスクリューを回転させてねじ込みを解除する必要があるため、ひと手間かかってしまいます。
盾マークがさりげなく隠されたフォールディングクラスプ
クラスプの開閉はチューダーの盾マークが入るセーフティキャッチを上げ、片開きのフォールディングクラスプを広げます。ロレックスに通ずる剛性の高い作りは、この価格帯としてはオーバースペックです。
クロノグラフボタンはカチッとした硬めの感触が指に伝わる
整然と配置された文字盤はあらゆるシチュエーションにおいて、時刻を判断する上では視認性に優れています。ただし、9時位置に収まるスモールセコンド(秒針)は袖口に隠れやすいので、個人的には3時位置のほうが好みですね。
暗い場所では夜光入りのドットインデックスとチューダー伝統のスノーフレーク針が高い視認性を約束してくれます。ただしクロノグラフ針には夜光塗料が入らないため、夜間の計測は不向きといえるでしょう。
着用すれば、きっとその魅力の虜になるはず
実際に着用してみたことで、ブラックベイ クロノ S&Gは普段使いしやすい時計だと確信しました。自動巻きクロノグラフウォッチならではの程よい重量感。しっかりと腕元をホールドするリベットブレスレット。総じて、スポーツウォッチとしての高い資質を備えていることを改めて感じました。
そしてヴィンテージライクな雰囲気をまとっているブラックベイ クロノ S&Gだけに、使い込んでいくことでより一層魅力を増していくような気がしますね。
インダイヤルの視認性においてはこちらのブラック×ゴールドが一枚上手。「200m 660 ft」の防水表記も目立つ
シャンパンゴールド×ブラック文字盤よりもひと足早い2019年にラインアップされていたブラック文字盤もご紹介しましょう。
ブラックベイ クロノ S&Gのブラック文字盤といえば、チューダーのアンバサダーである元サッカー選手デビッド・ベッカム氏のリストショットが印象に残っている方も多いのではないでしょうか。このブラック文字盤のヒットが無ければ、新作モデルの追加はなかったともいえます。
ブラック文字盤に赤ロゴがヴィンテージロレックスを彷彿とさせます
下記画像にある通り、バリエーションは3タイプが用意されていますが、時計愛好家の方ならレザーストラップモデルを見てお気づきの方も多いでしょう。
レザーストラップモデルはあの名優ポール・ニューマンが愛用していたデイトナ Ref.6239を彷彿とさせるブントが装着されています。さりげなくポール・ニューマン デイトナをオマージュしているのです。
レザーバングルのように腕元をホールドしてくれるブントはカスタムアイテムとしてもお馴染み。ちなみにブントは取り外しが可能なため、気分によって付け替えが可能です。ちなみにこのバリエーションはシャンパン文字盤も共通です。
いずれの仕様もヴィンテージライクな雰囲気が強調されている
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いかがでしたか?
今回は入荷したばかりの2022年新作チューダー ブラックベイ クロノ S&G Ref.79363N-0007をレビューしました。コンビモデルは派手なイメージがあるからと思っている方こそ、ブラックベイ クロノ S&Gのクラシックな雰囲気に惚れてしまうかもしれません。
当店ジャックロードでは今回紹介したブラックベイ クロノ S&G以外にも多数のチューダーを取り扱っています。
ジャックロードであれば新品・中古の選択肢もさることながら、無金利ショッピングローンでお得に購入が可能です。ぜひあなたにとってベストな1本を探してみてください。
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